ごだっくのぽんぽこ珍道中

日々のネタやロードバイクの旅ログ的な、他人様の役に立たない日記を書いてます

なまくら流オープンソース理解

私はさすらいのなまくらエンジニア。オープンソース・ソフトウェア(OSS)、マンセー!とか恥ずかしい2ch用語を心の中で叫びながら、日々の業務でOSS成果物の恩恵を授かっています。とはいえ、そのOSSっていったい何なのよ?フリーウェアとどう違うの?中心に居る連中はどんな哲学を持ってるの?と仮に問われたとすると、モゴモゴと口ごもってよくわからなくなってしまう程度の理解だったりする訳で、そんないつまでもなまくらのままじゃヤバイので、理解を深めるためにちょいと思考メモ。

CNETの記事よりいくつかの引用。

オープンソースは、実に不思議な現象である(少なくとも、以下のように見える)。

  • 無料、無償であり、貢献という価値観をベースに動いているにもかかわらず、多くの人々や企業の参画が進んでいる

CNET Japan - オープンソースに関する仮説(連載開始にあたって)

OSSな人々は、ソフトウェア開発の工程で必要な作業を全て無報酬でこなしてる。人を動かすのはまずお金、という現実的な考えの者からすると、これは全くのキチガイ沙汰でにわかには信じられない。しかし実際に彼らの手により数多くの成果物が上がっており、じゃあ彼らが期待する(金銭以外の)見返りは何よ?これが旧来の考え方の者にとっては大きな謎。

  • 自発的な行為の集合としての活動であるにもかかわらず、強力な求心力を有し、ばらばらにならない

CNET Japan - オープンソースに関する仮説(連載開始にあたって)

誰からも頼まれてない仕事をするために数多くの人があつまる。しかも報酬無し。これも超常現象並みに不思議。単にプログラミングが好きだから?いやいや、誰にも頼まれていない仕事は、本来は仕事と言えないかもしれないけれど、単に趣味の延長くらいの意識では多くの人が関わるプロジェクトを進めて完成品を送り出すのは不可能な気がする。なので開発者達の意識は普通の仕事と変わらないと考える方がしっくりくる。

アカデミアには、過去から、アイデアのインターラクションによる知識情報の創発に、金銭よりも高い価値を置くカルチャーがあった。アカデミアでは大して給料はもらえないが、創発・共創に知的興奮を覚える人が集まっている。それが「知識情報」社会において、広く一般に広まっていると考えることは、それほど不思議ではない。
CNET Japan - オープンソースに関する仮説(連載開始にあたって)

なるほど、カルチャーね。便利すぎる言葉だけど、そういう文化的背景があるという話は判らなくもない。都合よくCNETの別記事にこんなくだりがあったので、OSSを取り巻く人たちにあてはめて考えてみる。

「Money(カネ)とPower(力)とPersonal Satisfaction(個人的な充実)の3要素で、君は何をFirst Priorityに生きていこうとしているの?」

ほとんどの人は、「この3つは絡み合っているから、1つを選ぶのは無理だ」とか「面白い仕事ができればいい」とか、あまり深く考えずにすぐに言うけれど、この3つの中のどれを最重要と思って生きていくのが自分にもっとも合っているかを考えることは、ものすごく大切だと思う。
CNET Japan - 梅田望夫・英語で読むITトレンド:リッチになりたければ本拠地の見直しを

  1. 権力
  2. 個人的充実

1を選択する者はOSSの枠組みの中では単に成果物の一利用者。2は業界内での発言力を高めるためOSSに出資する企業。OSSの開発者は3を選択する人種、という事になるだろうか。正直、自分は1(w。直接的に労働の対価として金が欲しいもんね。

現実問題として収入を得なければ生活が困難になる訳なので、3を選択(と仮定)した、OSS開発にどっぷりつかった人間はどのように折り合いをつけるのだろう。以下はJavaの生みの親であるJames Goslingへのインタビュー。

「I'm a big fan. The big question for me about the whole open source thing is: how can you be a professional engineer and still make your mortgage payments? Maybe by consulting. We do our real job for free and then earn our money by being consultants. But that feels kind of odd, and it sets up all kinds of weird conflicts.」(僕はオープンソースの大ファンだ。でも、このオープンソース全体についての大きな問題はね、どうやってプロのエンジニアとして仕事をしながら、住宅ローンを支払っていくかということだよ。まあ、コンサルティングってことかなぁ。本当の仕事(real job)をフリーでやって、コンサルタントになってカネを稼ぐってことか。それも変な気がするよなぁ。本当に奇妙なコンフリクトだ。)
CNET Japan - 梅田望夫・英語で読むITトレンド:ソフトウェアエンジニアのオープンソースへの相反する感情

商用ソフトウェアでは、サポート業務は開発元が行う。それがOSSの場合は一部の詳しい有志、あるいは有志の所属する企業の手などによって行われており、そこでお金を発生させている。これは単にニッチな周辺ビジネスの一つだとオイラは思っていたのだけれど、どうやらそれが主目的化するというのがゴスリンさんの見解らしい。OSS開発の傍らで「副業」としてこれまでどおりの受注生産での開発作業を行うというスタイルは、なんか確かに奇妙な感じがする。

OSSプロジェクト成功の後ろに見える、ある「何か」。いやそんなもの無いのか?そこら辺が今の自分には見えていない。よってオチは無し。まだしばらくはなまくらかモナー...。